ネット上の掲示板やSNSでは、冬道運転に関して「わだちの中は氷でツルツルだから、わだちを外して新雪の上を走った方がグリップする」という言説が散見されます。しかし、交通安全工学の観点から見ると、これは極めて危険な誤解です。
わだちを避けて道路の端(路肩側)に寄ると、新雪の下に隠れた側溝(フタのない側溝)に脱落したり、吹き溜まりに突っ込んで完全に行き場を失う事故が多発しています。また、道路の中央寄り(対向車線側)を走ろうとすれば、車線境界に盛り上がった硬い雪塊に乗り上げて正面衝突のリスクを背負うことになります。
【プロの結論】冬道・悪路走行で生き残るための装備と判断基準
どんなに優れた運転技術を持っていても、物理的な車両スペックの限界を超えることはできません。冬道や悪路に立ち向かう際、自車の限界を見極める明確な判断基準を持つことが重要です。
- 走行を断念・慎重になるべき基準:
- 最低地上高が140mm未満の低床セダンやスポーツカー、エアロパーツ装着車(わだちのセンター山に腹を擦る危険が高い)
- 製造から4年以上が経過、またはプラットホーム(摩耗限度標識)が露出しかけている劣化スタッドレスタイヤを履いた車両
- 2WD(FF・FR)でスコップ、牽引ロープ、脱出マットなどのエマージェンシーキットを車載していない状態
- 安全に走破しやすい基準:
- 最低地上高が200mm以上確保されているSUV・クロスカントリー車
- 直近2シーズン以内に製造された十分な溝深さを持つ最新スタッドレスタイヤ装着車
- 電子制御式フルタイム4WDまたはLSD(差動制限装置)や悪路脱出モード(スノーモード等)が搭載された車両
「深いわだちを見かけたら無理にペースを上げず、先行車と十分な車間距離を取り、溝のなりゆきに従って滑らかに走る」。このシンプルな原則を崩さないことが、事故を防ぐ最大の防壁となります。