単なるアニメのイメージ追体験に留まらないのが、現代の台湾旅の面白さだ。最近では「千と千尋の雰囲気を楽しんだ後に、本当の台湾文化に触れる」という二段構えの観光スタイルが定着している。
街の喧騒から少し離れた路地裏では、リノベーションされた若い世代の茶芸館や、地元の鉱山歴史を伝える私設ギャラリーが次々とオープンしている。名物の芋圓(タロ芋団子)を頬張りながら、かつて金鉱の採掘者たちが生きた荒々しくも温かい歴史に耳を傾ける。作品の影を追いかけて訪れた旅行者が、気づけば九份という街そのもののファンになって帰っていく構図がここにある。