世界遺産エリア内における安全性を巡り、旅行者の間で最も懸念されているのが「実際に観光客への襲撃被害が出ているのか」という点です。岐阜県警察や白川村役場が発表した統計データを検証すると、白川郷の熊被害の現在において、集落内のメインストリートで観光客が直接襲われて重傷を負ったという深刻な事故は報告されていません。パトロール隊の巡回強化や侵入防止フェンスの整備、地域住民による迅速な通報体制が功を奏している結果です。
しかし、決して「クマが生息していない」わけではありません。地元自治体の発表や白川郷の熊ニュース最新情報によると、白川村全域では春の冬眠明け(4月下旬〜5月)から晩秋の冬眠準備期(10月〜11月)にかけて、山林境界部や農地周辺での白川郷の熊目撃情報がコンスタントに記録されています。特に山の実りが凶作となった年度には、堅果類(ドングリやブナの実)を求めて集落の至近距離まで個体が降りてくるケースが確認されており、観光客の視覚に入らない山林の奥では常に活動が続いています。
全国的に問題視されている「人里の味を覚えたクマ」の存在は、白川郷周辺でも潜在的なリスク要因です。村や観光協会が神経を尖らせているのは、食べ歩きのゴミ放置や無警戒な夜間散策によって、人間と野生動物の生活圏が交差してしまう事態です。目撃情報がニュースで取り上げられるたびに過度なパニックに陥る必要はありませんが、「白川郷は山深い豪雪地帯の谷あいに位置する集落である」という地理的前提を忘れてはなりません。