外食業界全体が原材料高や人手不足という荒波に揉まれるなか、株式会社木曽路の舵取りを担う松原秀樹社長の経営手腕には、業界内外から鋭い視線が注がれている。単なる低価格競争に巻き込まれることなく、フルサービスの日本料理チェーンとして培った接客力と空間価値を死守する姿勢が際立つ。
セントラルキッチンによる効率化を進めつつも、各店舗に配置された着物姿の仲居による丁寧な所作や、店内で最終調理を行う職人の技を決して手放さない。高級路線の敷居を適度に下げ、普段使いの延長線上にハレの日の高揚感を用意する。この絶妙なバランス感覚こそが、競合ひしめく市場で木曽路が確固たるポジションを保ち続けている根源的な強みといえる。