ひと昔前までは出産時の入院中に赤ちゃんの血液型を教えてもらえるケースが一般的でした。しかし現在、ほぼすべての産科医療施設で産院で血液型を調べない方針が徹底されています。その最大の理由は、生まれたばかりの段階では正確な判定が極めて難しいためです。
血液型の判定には、赤血球の表面にある抗原を調べる「オモテ検査」と、血清中の抗体を調べる「ウラ検査」の2種類を照合する必要があります。ところが新生児は赤血球の抗原が弱く、さらに自分自身の抗体もほとんど作られていません。加えて、母親からの移行抗体が血液中に残っているため、検査結果が大きく狂ってしまうリスクがあるのです。
その結果、「生まれたときはO型と言われていたのに、数年後に再検査したらA型だった」というように、見かけ上新生児の血液型が変わるという事態が頻発しました。血液型そのものが変化したわけではなく、初期の判定が不正確だったに過ぎません。医療現場で混乱を招く誤判定を防ぐため、出生時のルーチン検査は廃止されました。