日本酒の味は、飲む「温度帯」によって劇的に変化します。美酒爛漫を「まずい」と感じた経験のある方の多くは、銘柄ごとの最適温度を外してしまっている傾向があります。
特に評価が高い「生酛純米酒」は、ぬる燗(40℃〜45℃)に温めることで、乳酸由来の角が取れ、秘められていたアミノ酸の旨味と穏やかな酸味が美しく花開きます。燗酒にすることで油分の多い豚の角煮や、秋田名物の比内地鶏のきりたんぽ鍋、ハタハタの塩焼きなどと絶妙に調和し、口内の脂を心地よく洗い流してくれます。紙パック酒でありながら「全国燗酒コンテスト」等で賞を獲得する理由は、この温めた際の圧倒的なふくよかさにあります。
対照的に、「純米大吟醸」は涼冷え(10℃〜15℃前後)が理想的です。冷やしすぎると繊細な米の甘みや吟醸香が閉じてしまうため、冷蔵庫から出して15分ほど置いた状態がベストです。白身魚の昆布締めや山菜の天ぷらなど、淡白で素材の味が際立つ和食と合わせることで、至福のマリアージュを体感できます。