「レシピ通りの分量を入れたはずなのに、炊き上がったらベチャベチャで食感が台無しになった」という現象には、明確な科学的理由が存在します。主な要因は「調味料の比重による対流阻害」と「野菜・肉からの水分流出」の2点です。
トマトケチャップには高濃度の糖分とペクチン(増粘成分)が含まれており、水よりも比重が重いため、内釜の底へ急速に沈降します。お米とケチャップを最初に混ぜ合わせてしまうと、釜底に高粘度の層が形成され、炊飯器のセンサーが「底が焦げ付きそう」と誤認して加熱を弱めたり、内部の熱対流が阻害されてお米が均一に吸水できなくなったりします。その結果、上層部は水分過多でべちゃつき、下層部は芯が残るという最悪の炊きムラが発生します。
さらに、みじん切りにした生の玉ねぎや鶏肉には大量の水分が含まれています。塩分を含むコンソメやケチャップと接触することで浸透圧が働き、加熱前から大量の水分が米の外へ浸出してしまいます。通常の白米と同じ目盛りまで水を入れてしまうと、具材から出た水分がプラスされ、実質的に基準値の1.2〜1.3倍の水量で炊飯している状態に陥るのです。