競馬ファンが「ウインズなら税務署にバレない」と口を揃える最大の理由は、購入時および払戻時における完全な匿名性にあります。JRAのインターネット投票サービスである「即PAT」や「A-PAT」は、利用開始時に銀行口座とマイナンバー情報が紐付けられ、いつ、どのレースで、何番の馬券をいくら購入し、いくらの払戻金が口座に振り込まれたかが1円単位でデジタル記録に残ります。税務署が銀行へ反面調査に入れば、一目瞭然で脱税の証拠を握られてしまう構造です。
対照的に、ウインズ(場外勝馬投票券発売所)の自動券売機に現金を投入して購入する紙の馬券には、氏名も住所も印字されません。100万円未満の払戻であれば、的中馬券を自動払戻機に投入するだけで、誰の手も介さず機械から紙幣が吐き出されます。この物理的な取引プロセスの途中に個人情報を入力する工程は一切存在しないため、「誰が買ったのかを特定する直接的なログが存在しない」という点において、ネット投票より遥かに足がつきにくいのは客観的な事実です。
しかし、この物理的な匿名性が通用するのは「日常的な小額配当」の範囲に限られます。払戻金額が跳ね上がり、個人の生活水準や資産状況に異変を生じさせるレベルに達した途端、現金という隠れ蓑は驚くほど脆く崩れ去る仕組みが日本の金融・税務システムには張り巡らされています。