「Say the word」が日本市場で社会現象とも言える大ヒットを記録した背景には、1990年代末から2000年代初頭の音楽消費環境が大きく関わっています。当時、東芝EMIが展開していたコンピレーションアルバム『Dancemania(ダンスマニア)』シリーズは、累計売上1,000万枚を超えるモンスタータイトルへと成長していました。その看板トラックの一つとして抜擢されたのが本作です。
さらにブームを加速させたのが、全国のアミューズメント施設を席巻したKONAMIの音楽シミュレーションゲーム『Dance Dance Revolution(DDR)』への収録でした。フロアユースのダンスチューンと体験型ゲームの爆発的シナジーにより、洋楽を普段聴かない層やライト層の耳にも「ジャンルを超えた名曲」として瞬く間に浸透しました。
当時の音楽プロデューサーや制作関係者の証言を振り返ると、本作の勝因は「北欧特有の哀愁を帯びたマイナーコード進行」と「四つ打ちの強靭なダンスビート」の完璧な融合にありました。明るく開放的なだけのユーロビートやダンスミュージックとは一線を画す、どこか切なく胸を締め付ける旋律が、日本人の琴線に見事に合致したのです。