万座毛のシンボルといえば、隆起サンゴ礁の断崖絶壁に長い歳月をかけて波が刻み込んだ「象の鼻」のような奇岩です。高さ約20メートルの崖上から見下ろす海は、太陽の光と海底の地形によってエメラルドグリーンから深いインディゴブルーへと鮮やかにグラデーションを描きます。
この特異な地名には、歴史的な逸話が残されています。18世紀前半、琉球王国の第13代国王であった尚敬王(しょうけいおう)がこの地を訪れた際、「万人を座らせるに足る毛(野原)」と称賛したことが「万座毛」の名の由来です。「毛(もう)」とは沖縄の方言で野原や草原を意味し、断崖の上に広がる一面の緑と開放的なパノラマを端的に言い表した言葉でした。
また、崖の上に広がる植物群落は「万座毛石灰岩植物群落」として沖縄県の天然記念物に指定されています。厳しい海風と強い日差し、石灰岩の特殊な土壌に適応した固有の植物が生育しており、単なる展望スポットにとどまらない学術的・自然保護的な価値を秘めています。