ライブカメラで河童橋の観光客を観察していると、ある重大な問題に気づきます。それは「平地と同じ軽装(薄手のパーカーや半袖、サンダルなど)で訪れ、寒さに身を縮めている人が後を絶たない」という現実です。
現地と都市部との気温差を科学的に把握しておきましょう。気温は標高が100メートル上がるごとに約0.6℃低下します。標高1,500メートルの上高地は、東京都心や名古屋市街と比べて常にマイナス8℃から10℃前後低い環境です。朝晩の放射冷却が起きると、真夏(7月〜8月)であっても最低気温が12〜14℃まで冷え込み、春や秋には氷点下近くまで急降下します。
上高地気温とおすすめ服装の基本は、登山界の常識である「3層レイヤリング(重ね着)」をタウンユースに応用することです。
- ベースレイヤー(肌着):綿(コットン)素材は汗冷えを引き起こすため厳禁。吸汗速乾性に優れたポリエステルや、保温性と調湿性を兼ね備えたメリノウールが理想です。
- ミドルレイヤー(中間着):体温を逃がさないフリース、薄手のインナーダウン、または通気性のあるソフトシェル。日中気温が上がったら脱いでデイパックに収納します。
- アウターレイヤー(外層):山岳の強風と突然の雨を遮断するGORE-TEXなどの透湿防水マウンテンパーカー。傘だけでは横殴りの雨に対応できません。
- 足元:大正池〜河童橋〜明神池の散策路は整備されていますが、未舗装の砂利道や木道が主体です。濡れた木道は非常に滑りやすいため、スニーカーまたはグリップ力のあるトレッキングシューズが必須です。ヒールや厚底サンダルは転倒事故の元となります。