世界の頂点を極めたドイツが、なぜ2018年ロシア大会、2026年カタール大会と立て続けに早期敗退の屈辱を味わうことになったのか。その最大の理由は、「美しく支配するサッカー」への過度な傾倒と守備バランスの崩壊にあります。
2014年の優勝以降、チームは圧倒的なボール保持率で相手を押し込むポゼッションスタイルを極限まで追求しました。しかし、相手に対策された結果、前線で決定打を欠いてボールを持たされる展開が急増。高いディフェンスラインの背後に広大なスペースを残したままボールを失い、鋭いショートカウンター一撃で失点する脆さが日常化してしまいました。
さらに根深い問題としてメディアや専門家から追及されたのが、ドイツサッカー育成システム崩壊の真相です。2000年代初頭の改革以降、ドイツのアカデミーは戦術理解度とパス技術に優れたミッドフィールダーの育成に特化しすぎた結果、かつてのお家芸であった「屈強なストライカー(9番)」や「対人守備に長けたサイドバック」が枯渇してしまいました。ピッチ上にパサーが溢れかえり、ペナルティエリア内で泥臭くゴールを奪う点取り屋も、個人の力でピンチの芽を摘むハードマーカーも不在という、致命的な構造的アンバランスが生じていたのです。