大葉健二、最後のヒーローは静かに去った 昭和アクションの肉体が遺したもの

大葉健二、最後のヒーローは静かに去った 昭和アクションの肉体が遺したもの

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大葉健二のアクションが今も語り継がれる理由。それは「生身の身体」に徹底的にこだわった点にある。宇宙刑事ギャバンにおける変身ポーズ、いわゆる「蒸着(じょうちゃく)」のシーンは、CG処理が存在しない時代にあって、彼の身体操作だけで完結していた。当時の特番インタビューや自著・手記で語られた本人の言葉によると、「アクションはお客様への礼儀」であり、カメラが回っていない場所でも一切手を抜かなかったという。

バトルフィーバーJの曙四郎(バトルケニヤ)では、黒人アクターとの共闘という当時としては画期的な設定の中で、重厚な格闘スタイルを披露。一方、デンジマンの青梅大五郎(デンジブルー)では一転して、軽妙な動きとコミカルな表情で子どもたちの心を掴んだ。同じ戦隊シリーズでありながら、キャラクターごとに身体の使い方を変える繊細さは、現代のアクション俳優にも通じる方法論の先駆けだった。

ギャバン撮影当時、大葉は26歳。スーツアクターを兼任せずとも可能な高い身体能力を持ちながら、あえて自ら危険なスタントにも挑戦した。その結果、レーザーブレードを使った殺陣の切れ味は、特撮史上屈指の完成度を誇ると評価されている。ネット上の反応でも、「ギャバンのアクションは今見ても色褪せない」「あの蒸着ポーズを真似して育った」という声が、訃報後に殺到した。

清水 千尋
著者

清水 千尋

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。