日本屈指の水産流通網を誇る東京都心であっても、生のうずわに出会える機会は極めて稀です。その最大の要因は、ソウダガツオ特有の圧倒的な「足の速さ(鮮度劣化のスピード)」にあります。
ソウダガツオの筋肉組織には多量のヒスチジンが含まれており、水揚げ後に適切な温度管理と即座の処理を行わなければ、短時間でアレルギー物質であるヒスタミンを生成しやすい性質を持ちます。そのため、一般的な広域コールドチェーンに乗せて翌日以降に店頭へ並べる生食用鮮魚としては、長年リスクが高いと敬遠されてきました。
さらに、一口にソウダガツオと言っても「ヒラソウダ」と「マルソウダ」の2種類が存在し、肉質と用途には決定的な違いが存在します。
伊東の飲食店で供されるうずわの多くは、生食に適した脂乗りの良いヒラソウダを厳選し、港から店舗までの最短ルートで徹底した氷締め・温度管理を行うことで提供されています。「港町でしか食べられない」のは単なる宣伝文句ではなく、鮮度管理と生物学的特性に裏打ちされた必然の条件なのです。