彬子女王の著書が空前のブームを巻き起こした直接の契機は、2015年に単行本(PHP研究所)として刊行されていた『赤と青のガウン オックスフォード留学記』が、2026年4月にPHP文庫として復刊されたことでした。発売直後から全国の書店員による推薦POPやSNS上での口コミが爆発的に拡散し、文庫化からわずか数か月で累計30万部を突破。文庫エッセイとしては異例の増刷劇を演じました。
一般的に皇族によるご著書といえば、公務の記録や厳格な学術論文、あるいは格式高い歌集などを想像する読者が大半でした。しかし、彬子さまが綴られたエッセイは、その固定観念を鮮やかに打ち砕くものでした。
英国留学中の側衛官(護衛)がつかない自由と孤独、日用品の買い物でトイレットペーパーを抱えて街を歩く姿、厳しい指導教授からの容赦ないダメ出しに涙した夜、さらには空港での別室送りやパスポート確認をめぐる珍事まで、驚くほど率直に自己開示されています。「皇族であっても一人の生身の人間として悩み、努力し、壁を乗り越えている」という圧倒的なリアリティが、若年層からシニア層まで幅広い共感を呼んだ最大の理由です。