ネット上の情報で最も大きな誤解を生んでいるのが、「コンセントを使わないコードレス充電式ヘアアイロンなら、車内の座席で使っても咎められないのではないか」という言説です。結論から申し上げると、電源供給方法を問わず、走行中の車内で高温を発する熱源機器を使用する行為そのものが安全運行上のNG行為に該当します。
JR各社の車内秩序維持に関する規則では、他のお客様に危害を及ぼす恐れのある行為や、火災の原因となり得る物品の操作は制限されています。コードレスヘアアイロンであっても、スイッチを入れた瞬間からプレート温度は160℃〜200℃の高温状態に達します。新幹線が緊急地震速報を受信して非常ブレーキを作動させた場合、手元から放り出された加熱中のアイロンが布製の座席シートや衣類に接触し、発煙・発火事故を引き起こすリスクは決して排除できません。
また、整髪に伴って使用されるヘアスプレーやオイルの飛散も車内の密閉空間では深刻なトラブルの要因です。気化した化学成分が車両の煙感知器に反応して非常ブザーが鳴動したり、隣の乗客に対するスメルハラスメントに発展したりする事例が報告されています。コンセントを使用していないからといって、車内空間をプライベートなパウダールームとして扱うことは厳に慎まなければなりません。