私生活において日本中を沸かせたのが、当時のトップアイドル歌手であった榊原郁恵さんとの出逢いと結婚でした。ふたりの本格的な接点は、1982年の人気バラエティ番組『カックラキン大作戦!!』やグリコのCMでの共演でしたが、決定的なきっかけとなったのは1984年に放送された日本テレビ系の連続ドラマ『風の中のあいつ』での本格共演でした。
当時から太陽のように明るく、誰に対しても礼儀正しかった榊原郁恵さんに、渡辺徹さんは強く惹かれ、現場で熱烈なアプローチを開始します。当時の芸能界において、トップアイドル同士の恋愛はスキャンダルとして厳しくタブー視されていましたが、ふたりは互いの事務所関係者や周囲への誠実な配慮を崩さず、静かに、かつ堅実に愛を育んでいきました。
そして1987年10月14日、ふたりは東京・赤坂の霊南坂教会で挙式。ホテルニューオータニで行われた披露宴の模様は日本テレビ系でゴールデンタイムに完全生中継され、平均視聴率40.1%(ビデオリサーチ・関東地区)という驚異的な数値を記録しました。この数字は、芸能人の結婚披露宴中継としては歴代屈指の金字塔であり、名実ともに「昭和芸能界の世紀のビッグカップル」として国民的祝福を受けた瞬間でした。
長男であり、現在タレント・俳優として第一線で活躍する渡辺裕太さんは、自身のブログやテレビ出演時、若き日の両親の写真を目にするたびに次のように回想しています。
「自宅にある当時のアルバムや昔の映像を見るたび、『親父、本当にこの美少年と同一人物なのか?』と笑ってしまうと同時に、同じ男として純粋に憧れと尊敬を抱きます。あの時代に父が全力で駆け抜け、母と出会い、今の家族の基盤を作ってくれたことは自分にとって最大の誇りです」
息子の証言からも、若い頃の渡辺徹さんが放っていた尋常ならざるカリスマ性と、家庭内でも変わらぬ温もりを持ち続けていた父親像が鮮明に浮かび上がります。