2026年を迎え、茅ヶ崎の温浴シーンはかつてない活況に包まれている。神奈川県公衆浴場業生活衛生同業組合に加盟する老舗銭湯のいくつかは、脱衣所のモダンな刷新や高濃度炭酸泉の導入など意欲的な改装を実施した。従来の夕方15時から22時半前後という営業時間を堅持しながらも、朝風呂の臨時営業や週末限定の薬湯を打ち出し、若いサウナーやランナーの受け入れ態勢を整えている。
だが、こうした隠れた名湯を満喫するには、地元で長年培われてきた「粋な作法」の理解が欠かせない。例えば、カランの場所取りはご法度。使い終わった桶と椅子は次の人のために手早くすすぎ、元の位置へきっちり伏せて戻す。浴槽に入る前のかけ湯はもちろん、海帰りの客は砂を完全に外のシャワーで落としてから入館するのが鉄則だ。こうした独自の暗黙ルールを守ることこそが、観光客と常連客が心地よく湯を分け合うためのパスポートとなる。