人物をドラマチックに際立たせる最大の武器は、ピントの合っている範囲を狭める「浅い被写界深度」です。関西写真部shareをはじめとするプロフォトグラファーの現場指導でも、ポートレート撮影の基本設定において最も重視されるのは、絞り値(F値)とシャッタースピードのバランスに集約されます。
背景をぼかすF値と露出のコツとして、まずカメラを「絞り優先モード(A/Av)」または「マニュアルモード(M)」に設定します。開放F値の明るいレンズを使用し、絞りをF1.4〜F2.8程度まで開くことで、背景が美しく溶け込み、被写体の瞳に視線を誘導することが可能です。ただし、被写体が動くポートレートでは被写体ブレを防ぐため、シャッタースピードは最低でも1/250秒以上を確保するのが定石です。屋外の直射日光下でF1.4まで開く場合は露出オーバーを防ぐため、1/4000秒以上の高速シャッターやNDフィルターの導入を検討してください。
レンズ選びにおいては、おすすめ単焦点レンズと焦点距離の把握が表現の幅を大きく左右します。用途別に以下の3つの画角を押さえておくのが鉄則です。
- 85mm(中望遠):ポートレートの「王道」と呼ばれる焦点距離。適度なワーキングディスタンス(約2〜3m)を保ちながら、遠近感を自然に圧縮する「圧縮効果」と大きなボケ味を両立できます。顔の輪郭が歪まず、モデルも威圧感を感じにくい理想的な画角です。
- 50mm(標準):人間の肉眼に近い自然なパースペクティブ(遠近感)を持つ画角。被写体とコミュニケーションを取りながら、上半身から全身までテンポよく切り取れます。
- 35mm(広角寄り):被写体だけでなく、周囲の街並みや季節の草花を構図に取り入れる「環境ポートレート」に最適。旅先やカフェでの臨場感を残したいシチュエーションで真価を発揮します。
ピント合わせは「手前の瞳」に合わせるのが基本原則ですが、最新のミラーレスカメラに搭載された高精度な瞳AFを活用すれば、ピント合わせのストレスから解放され、被写体との対話に100%の意識を集中できます。