創業者の安田隆夫氏が築き上げた「権限委譲」と「現場主義」の哲学は、この絶海の孤島でも息づいている。運営母体である株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)傘下の株式会社ドン・キホーテは、各店舗の現場スタッフに仕入れや価格設定の大きな裁量を与えている。だからこそ、宮古島の気候、潮風、観光シーズンの波に合わせた柔軟で奇抜な売り場づくりが成立する。
総合ディスカウント小売業界の競合他社が離島展開に慎重な姿勢を崩さない中、いち早く勝負を仕掛けた同社の嗅覚は鋭かった。現在では洗練された免税リテールストアとしても機能しており、アジア圏をはじめとする外国人富裕層がクルーズ船から直接タクシーで乗り付ける光景も日常的だ。海外客が求める高級化粧品や日本の医薬品と、地元民が必要とする蚊取り線香や島草履が同じ空間で売られている不思議なコントラストこそ、同社が世界基準で培ってきたリテールエンターテインメントの真骨頂と言える。