黒い肉に宿る炎の魔術、本場宮崎「地鶏炭火焼き」門外不出の職人技

黒い肉に宿る炎の魔術、本場宮崎「地鶏炭火焼き」門外不出の職人技

黒い肉に宿る炎の魔術、本場宮崎「地鶏炭火焼き」門外不出の職人技の全貌を分かりやすくまとめてご紹介します。

門外不出とされてきた本場の焼き技には、一般には知られていない独自の仕込み工程が存在する。最大の鍵を握るのは、肉のカット方法と「追い脂(あぶら)」の配合比率だ。

名店と呼ばれる厨房では、肉を一口大に切り分ける際、あえて皮と赤身のバランスを均一にせず、繊維の走行方向に対して斜めに深い隠し包丁を入れる。これにより、強い炎に晒された際にも肉が縮みすぎず、炭香が内部の筋膜まで浸透する。さらに下味には、粗塩に少量のニンニクと地酒、そして店舗ごとに独自調合された鶏油を揉み込む。この事前コーティングが、強烈な炎から肉の水分を守るバリアとなる。

火入れの工程はまさに一瞬のドラマだ。職人は柄の長い特注の籠網を両手で激しく煽り、網の中で肉を躍らせ続ける。肉が空中に浮いている間に表面の脂を落とし、落ちた脂が炭を爆発させて煙を吹き上げ、再び肉を包み込む。この「落下と燻煙」のサイクルをわずか数十秒の間に数十回繰り返す。焼き上がりの見極めは、中心温度が約65度に達したピンポイントの瞬間。余熱を計算して皿へと放たれた肉は、外側が香ばしく燻され、内側には艶やかなレアのジューシーさが保たれている。

山口 彩花
著者

山口 彩花

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。