中島歩のキャリアは、決して平坦なエリートコースばかりではなかった。2014年のNHK連続テレビ小説『花子とアン』で宮本龍一役を演じ、一躍お茶の間の知るところとなったが、彼はそこから安易なマスメディア中心のテレビドラマ路線へと傾倒しなかった。
あえて自らを過酷な表現の場へと追い込み、小劇場演劇やエッジの効いた小規模なインディペンデント映画への出演を積極的に重ねた。商業主義の波に呑み込まれることを拒み、自分が本当に心を動かされた作品・監督との仕事を優先する姿勢。この愚直なまでの選択が、俳優としての骨格を強固にし、現在の圧倒的な表現力の基礎を作り上げた。