洋画の文脈で育まれたこの台詞は、日本のサブカルチャーであるアニメ、漫画、特撮作品においてキャラクターの個性を際立たせる強力なスパイスとして多用されてきました。
代表的な例として挙げられるのが、許斐剛氏による大人気テニス漫画『新テニスの王子様』に登場するU-17日本代表・鬼十次郎(おに じゅうじろう)のインパクトある台詞や、特撮ドラマ『仮面ライダーカブト』で絶大なカルト人気を誇る地獄兄弟(矢車想・影山瞬)が纏うダウナーかつ破滅的な世界観です。また、藤本タツキ氏の『チェンソーマン』における「地獄の悪魔」登場シーンなど、読者に絶望感と畏怖を植え付ける演出において、この言葉の持つ意味合いは常に最大限の効果を発揮してきました。
アニメや漫画における「地獄へようこそ」には、大きく分けて以下の3つの構造的パターンが存在します。
1つ目は、「圧倒的な実力差を見せつける敵キャラクターが主人公を絶望の淵に突き落とすシチュエーション」です。2つ目は、「常軌を逸した特訓環境や選別試験に足を踏み入れた新人を迎える教官・先輩キャラクターの警告」。そして3つ目は、「過酷な現実を受け入れたダークヒーローが仲間を自嘲気味に迎え入れるシーン」です。このように、文脈によって恐怖の象徴にもなれば、ある種の絆や覚悟を共有するトリガーにもなる点が、創作界隈で長年愛され続ける理由と言えます。