ネット上の口コミやSNSを見ていると、「宮島のあなごめしはどの店も同じような蒲焼き重だろう」という誤解が散見されます。しかし、これは明らかな認識不足です。宮島のあなごめしには、大きく分けて2つの異なる系譜が存在します。
ひとつは「うえの」に代表される地焼き・炊き込みご飯系です。蒸しを入れずに直火で香ばしく焼き上げた穴子と、旨味の凝縮した出汁ご飯の組み合わせは、力強いコクと芳醇な香りが際立ちます。
もうひとつが「ふじたや」などに代表される蒸し・白飯(またはタレ掛けご飯)系です。ミシュランガイド広島で一つ星を獲得した「ふじたや」では、穴子を丁寧に焼き上げた後に蒸籠で蒸し上げることで、箸がスッと通る極上の柔らかさを実現しています。丼全体が熱々の状態で提供されるため、魚本来の上品な甘みと繊細な食感が際立ちます。
この決定的な違いを理解せずに店を選んでしまうと、「思っていた食感と違った」というミスマッチを招く原因になります。香ばしさと米の味付けを重視するなら宮島口の焼き系、ふんわりとした食感と熱々の蒸気を堪能したいなら島内の蒸し系を選択するのがセオリーです。