大阪・難波の千日前商店街天ぷら激戦区において、「天ぷらまきの難波千日前店」がここまで圧倒的な支持を得ている最大の要因は、体験価値と価格設定の劇的なギャップにあります。仕掛け人は、「丸亀製麺」を世界的チェーンへと育て上げたトリドールホールディングス。同社が得意とする「オープンキッチンでの実演・手づくり感」という勝者のノウハウが、このカウンター天ぷら業態にも惜しみなく注ぎ込まれています。
天ぷらまきの難波行列の理由を紐解くと、以下の3つの強固な軸が浮かび上がってきます。
第1に、「揚げたてを一品ずつ配膳する都度揚げ方式」の徹底です。一般的な大衆天ぷら店では、すべてのタネを一度に揚げて天ぷら皿や丼に盛り付けて提供するのが通例ですが、まきのでは職人が客の目の前の大鍋で油調し、揚がった瞬間の最も熱く香ばしい状態でバットへ運びます。一口ごとにサクッとした軽快な衣の音と蒸気を感じられる贅沢さは、従来の数千円から1万円を超える天ぷら割烹でしか味わえなかった特権でした。
第2に、「無料卓上サービスの破壊力」です。カウンターには、ゆず風味の大根漬けに加え、名物の「イカの塩辛」が常備されており、いずれも食べ放題。炊きたてのご飯も定食であればおかわり無料という盤石の布陣が敷かれています。天ぷらが運ばれてくる前からご飯が進んでしまうこの仕掛けが、食い倒れの街・大阪の顧客の胃袋を完全に掴んでいます。
第3に、「ライブ感とシズル感による視覚的エンターテインメント」です。店内に充満する香ばしいごま油の香り、黄金色に輝く油の中で泡を立てる天ぷら、そして職人の無駄のない所作。ただ食事をするだけでなく、五感すべてで料理を楽しむ劇場型の体験が、国内外のSNSを通じて拡散され、インバウンド需要と地元リピーターの相乗効果を生み出しています。