報道各社の取材データおよび複数の食文化アーカイブによると、「万代そば」が万代シテイバスセンター内に開業したのは1973年(昭和48年)11月のこと。高度経済成長の余熱が残り、全国各地でバスターミナルや鉄道駅を核とした商業施設の整備が急速に進んでいた時代だ。新潟市においても、万代シテイバスセンターは県内最大規模の交通結節点として機能し始めており、その構内に立ち食いそば店が入居したのは自然な流れだった。
創業当初は「そば・うどん専門の立ち食い店」として出発したとみられるが、早い段階からカレーライスがメニューに加わり、口コミで評判が広がった。特筆すべきは、当時のレシピがほぼそのまま現在も継承されているという点だ。チェーン展開する大手カレー店が全国に進出し、インドカレーやスープカレーがブームとなった平成・令和の時代にも、万代そばは「昭和の立ち食いそば屋のカレー」に忠実であり続けた。この頑固なほどの一貫性こそが、現在の熱狂的な支持者層を生み出した最大の要因といえる。
新潟市中央区・万代シテイバスセンターという立地も見逃せない。バスを利用する地元住民が毎日のように通る場所であり、「仕事帰りの一杯」「出張前の腹ごしらえ」という日常的な文脈でカレーが消費されてきた。観光地の名物グルメとは異なる、「生活圏の中に溶け込んだソウルフード」という性格が、地元民からの圧倒的な支持を生んでいる。
---