暗く湿った坑道を奥へ進むと、コンクリートで補強された狭隘な一室に行き当たる。旧海軍沖縄方面根拠地隊の司令部が置かれていた幕僚室だ。壁面に近づくと、手榴弾によって削り取られた不自然な窪みや数知れない弾痕がくっきりと残っている。自決を選んだ将兵たちの最期の瞬間を刻みつけた痕跡だ。ここで采配を振るったのが、司令官である大田実少将だった。
2026年最新の現地調査や関係者の証言によれば、極限の暗闇の中で大田少将が抱えていた葛藤は、単なる軍事的敗北への絶望にとどまらなかったという。補給も絶たれ、地上では猛烈な艦砲射撃と爆撃が連日降り注ぐ中、狭い坑内には負傷した兵士の呻き声が充満していた。壁に残る弾痕は、絶望の末に下された凄惨な決断の恐怖を現代に生きる私たちへダイレクトに突きつけてくる。