タニマチ活動において最もトラブルになりやすいのが税金の問題である。「応援している力士の後援費用なのだから、自社の経費として計上できるだろう」という安易な判断は、国税局による厳しい税務調査の標的となる。
税法上の原則として、法人が支出するタニマチ関連の費用が「広告宣伝費」として認められるハードルは極めて高い。本場所に懸賞金を出し、土俵上で企業名がアナウンスされたり懸賞旗が回ったりする場合、あるいは化粧廻しに明確な企業名・ロゴが入り、事業上の宣伝効果が客観的に証明できる場合は広告宣伝費としての損金算入が認められやすい。
しかし、以下のような支出は税務署によって容赦なく否認されるケースが多い。
- 関取や親方との個人的な飲食費・小遣い:業務との直接の関連性が証明できなければ、単なる「交際費(限度額超過分は損金不算入)」あるいは「社長個人への役員賞与(現物給与)」と認定され、重加算税や所得税の追徴課税対象になる。
- 後援会費や寄附金:税法上の「寄附金」として扱われると、損金算入限度額が厳格に定められており、枠を超える部分は法人の利益から削られる。
- 宿舎や稽古場の無償提供:適正な賃料相当額を寄附した、あるいは力士側に利益供与したとみなされ、受贈益課税や法人側の認定寄附金として問題化することがある。
かつては「社長のツケ」で大らかに処理されていた時代もあったが、税務当局の監視と企業ガバナンスが強化された現在、タニマチ活動の多くは「課税後の社長個人の手取り資金(プライベートマネー)」から拠出されるのが通例となっている。まさに身銭を切る覚悟がなければ、本物のタニマチは務まらない。
加えて、2010年代以降に進んだ暴力団排除条例の徹底により、日本相撲協会や芸能プロダクションは支援者の反社チェックを厳格化している。資金の出所が不透明な人物や、トラブルの火種を抱える金主は関係を断絶されるリスクが高く、タニマチにも極めて高いコンプライアンス遵守が求められている。