マーブルビーチを訪れた旅行者が真っ先に疑問を抱くのが、「これほど広大で美しい海を目の前にしながら、なぜ一切泳いではいけないのか」という点です。透明度の高い海水と純白の石がリゾート地を想起させるため、夏場には足首を浸す感覚で海に入ろうとする姿も見受けられます。しかし、現地管理スタッフは「波打ち際からわずか数歩進むだけで、命に関わる構造になっている」と警鐘を鳴らします。
最大の要因は、マーブルビーチが砂浜ではなく大理石を人工的に敷き詰めた特殊な護岸構造である点にあります。水深が波打ち際から急激に落ち込む「ドン深」の地形をしており、海底の傾斜は自然の遠浅海岸とは全く異なります。さらに、角の丸い大理石は水中で海藻が付着しやすく、極めて滑りやすい性質を持っています。一度足を滑らせて体勢を崩せば、自力で這い上がることが困難な構造です。これに加え、関西国際空港との連絡水域には大型船舶の航行や潮位差に伴う目に見えない潮流・離岸流が常に発生しています。ライフガードの常駐体制も敷かれていないため、安全管理の観点から「完全遊泳禁止」が敷かれています。
もう一つの深刻なトラブルが、砂浜を埋め尽くす白い大理石の持ち帰り問題です。「旅の記念に小さな石を1個だけ拾うなら問題ないだろう」と安易にポケットに入れる観光客が散見されますが、これは明確な違反行為です。現地の白い玉石は、景観形成と護岸保全を目的として大阪府が計画的に投入した公共物です。無断で持ち去る行為は、大阪府都市公園条例第4条(行為の禁止・施設等の損壊や汚損)に抵触するだけでなく、刑法第235条の窃盗罪に問われるリスクがあります。「数個だから大丈夫」という心理が積み重なれば、砂浜の侵食防止機能そのものが失われてしまうため、管理パトロールによる巡回と注意喚起が厳しく行われています。