美術史家たちが特に興奮を隠せないのは、描かれた筆致と構図の特異性にある。初期の調査で浮かび上がったのは、室町幕府の御用絵師として活躍した狩野正信の署名と落款だ。正信の現存する作品は極めて少なく、その全貌はこれまで多くの謎に包まれていた。
描かれているのは、水墨画の技法をベースにしながらも、鮮やかな色彩が効果的に配置された「山水花鳥図」である。力強い線の引き方や、空間の余白の持たせ方は、正信の真筆であることを強く示唆している。ある大学教授は「これは教科書に載っている歴史が、目の前で書き換わる瞬間だ」と熱っぽく語る。