ネット上のヘルスケア情報や動画プラットフォームでは、鼻声の解消法として様々な民間療法やトレーニングが推奨されていますが、中には医学的根拠を欠き、かえって症状をこじらせる危険な言説が溢れています。
最も典型的な誤解が、「市販の血管収縮薬入り点鼻スプレーを使い続ければ鼻声が治る」というものです。鼻が詰まっていない状態でこうした点鼻薬を頻繁に噴霧すると、リバウンド現象によって粘膜の自律神経が狂い、「薬剤性鼻炎」を誘発して本当の高度鼻閉を引き起こす危険性があります。
また、「鼻をつまんで高い声を出す練習をすれば開鼻声は治る」というボイストレーニング系の俗説も要注意です。軟口蓋に麻痺や構造的欠損がある状態で無理な圧力をかけると、代償作用として首周りや肩の筋肉が過剰に緊張し、筋緊張性発声障害という別の音声障害を併発するリスクがあります。声の異常を「単なる発声の癖」と断定する前に、必ず器質的疾患を鑑別・除外することが医学の大原則です。