沢尻エリカが芸能界に足を踏み入れたのは、小学校6年生の時でした。大手芸能事務所にスカウトされた彼女は、雑誌『nicola(ニコラ)』の専属モデルとしてキャリアを本格化させます。当時のティーン誌界隈において、彼女の放つ華やかなオーラは別格でした。父が日本人、母がアルジェリア系フランス人(ベルベル人)というルーツを持つ彼女は、くっきりとした目鼻立ちと陶器のような白肌、そしてどこか小悪魔的な愛らしさを兼ね備えたハーフ美少女として、同世代の女子中高生から絶大な支持を集めました。
デビュー当時のグラビアやジュニアアイドル企画でもその美貌は際立っていましたが、彼女を単なる「可愛いティーンモデル」で終わらせなかったのは、内に秘めた強烈な表現欲と度胸でした。2003年のドラマ『ホットマン』(TBS系)で本格的に連続ドラマへ出演し始めると、映像業界のクリエイターたちの間で「とんでもない新人がいる」と瞬く間に噂が広がります。
その才能が一気に開花した決定打が、2005年公開の映画『パッチギ!』(井筒和幸監督)のヒロイン・リ・キョンジャ役への大抜擢でした。京都の朝鮮高級学校に通う女子生徒を演じた彼女は、清楚なチマチョゴリ姿とともに、フルートを演奏する凛とした横顔、主人公と心を通わせる透明感に満ちた笑顔を披露。演技経験が浅かったにもかかわらず、井筒監督の厳しい演出指導に食らいつき、映画賞の新人賞を総なめにしました。当時の映画関係者は「スクリーンに彼女が映るだけで、劇場の空気が一変した」と証言しており、まさに伝説の幕開けを象徴する作品となりました。