近年、実際に現地を訪れた参拝者から「枝の数が減り、昔の写真と比べて寂しくなった」「枯れてしまったのではないか」という声が聞かれます。これらは単なる噂ではなく、巨樹が抱える現実的な課題に基づいています。
樹齢300年を超える古木であること、台風による大枝の折損、土壌の硬化や菌被害などが重なり、平成後期から樹勢の衰退が顕著になりました。一時は主幹の一部が枯死の危機に瀕したため、小田原市や保全団体、樹木医が連携し、大がかりな「しだれ桜再生プロジェクト」が立ち上げられました。
現在行われている主な保全対策は以下の通りです。
- 土壌環境の改善:根の周囲の踏み固めを防ぐウッドデッキ風の保護柵設置と、通気性・保水性を高める有機質土壌の客土。
- 腐朽部の外科手術と保護:幹の空洞化部分に対する防腐処置と雨水侵入防止対策。
- 後継樹・ひこばえの育成:原木の遺伝子を受け継ぐ「ひこばえ(根元から生える若芽)」の保護と、隣接する後継苗木の植樹。
関係者の懸命な手当てにより、かつての「空を覆い尽くす巨大な花の滝」という全盛期の姿とは異なるものの、新しい命が芽吹き、力強く花を咲かせる「命の継承」を感じられる貴重な姿を現在も見せています。