そもそも、英語圏で「Music Box(ミュージックボックス)」と呼ばれる装置が、なぜ日本国内でのみ「オルゴール」と呼ばれるようになったのでしょうか。その背景には、江戸時代の鎖国体制とオランダ交易の歴史が存在します。
日本へこの自動演奏装置が初めて持ち込まれたのは江戸時代後期、寛政から文化年間(18世紀末〜19世紀初頭)のことでした。長崎の出島を通じてオランダ商人によってもたらされた際、彼らはこの装置をパイプオルガンなどを指すオランダ語の「orgel(オルヘル)」と説明しました。この発音が当時の日本人通詞の耳に「オルゴール」と聞き取られ、そのまま器械の名称として定着したと記録されています。
当初はオランダ商館長が将軍への献上品や大名への高級な贈り物として持ち込んだため、庶民の手には届かない最高級の舶来珍品でした。精密機械の極致であった自鳴琴は、当時の権力者たちを大いに驚嘆させました。