インターネット上の検索コミュニティやSNSで頻繁に見られる「加味帰脾湯を飲むと太る」という言説について、配合生薬の薬理学的性質から検証します。
「太る」と噂される2つの直接的要因
第一の要因は、配合生薬である人参(ニンジン)、白朮(ビャクジュツ)、茯苓(ブクリョウ)などがもたらす「消化器機能(脾胃)の正常化」です。ストレスや不安で食欲が落ちていた人が、胃腸の働きを取り戻すことで本来の食欲に戻り、摂取カロリーが増加して体重が回復する現象が「太った」と認識されるケースが多々あります。
第二の要因は、配合生薬「甘草(カンゾウ)」に起因する「水分の貯留(浮腫)」です。加味帰脾湯自体に体脂肪を急増させる成分は一切含まれていませんが、体質によってナトリウムと水分が体内に溜まりやすくなり、顔や手足のむくみとして現れることがあります。
知っておくべき副作用と添付文書上の注意点
漢方薬は安全という先入観は禁物です。加味帰脾湯を服用する上で注視すべき副作用には以下のものがあります。
- 偽アルドステロン症・ミオパチー:甘草の主成分グリチルリチン酸による低カリウム血症。手足のだるさ、しびれ、筋肉痛、血圧上昇が初期症状として現れます。
- 腸間膜静脈硬化症:山梔子を長期間(一般に5年以上)にわたり継続服用した場合に発症リスクが高まる病態です。腹痛、下痢、便秘、腹部膨満感が繰り返し現れる場合は速やかな検査が必要です。
- 消化器症状:地黄などの重い生薬は含まれていませんが、人によっては飲み始めに軽度の胃もたれ、軟便、食欲不振を感じることがあります。