普段から耳の周辺を触られることを極端に嫌がる猫は多いが、それには身体構造上の正当な理由がある。猫の耳介には無数の神経と細い血管が密集しており、非常に敏感なセンサーとなっているためだ。信頼関係が築かれていない段階で耳を鷲掴みにされたり、無理に裏返されたりすることは猫にとって強い不快感となる。
一方で、スキンシップを嫌がるだけでなく、以下のような異変が見られる場合は単なる気分ではなく耳の疾患や感染症を疑う必要がある。
・頻繁に後肢で耳を激しく掻きむしる
・頭を小刻みに何度も左右に振る(ヘッドシェイク)
・耳の内側に黒褐色や黄色っぽい耳垢が大量に溜まっている
・耳周辺から酸っぱい悪臭や異臭が漂う
・耳の付け根が熱を持ち、赤く腫れ上がっている
これらは「外耳炎」や、ミミヒゼンダニの寄生による「耳疥癬(耳ダニ症)」、あるいは食物・アトピー性アレルギーの代表的な症状だ。放置すると激しい痒みによる自傷行為で耳血腫を引き起こしたり、中耳炎・内耳炎へと悪化して平衡感覚に障害が出たりすることもある。異変に気付いた段階で、綿棒などで無理に自己掃除を試みず、速やかに動物病院で専門的な耳内視鏡検査や投薬治療を受けることが重要だ。