インターネット上のマッチング掲示板や地方自治体の窓口では、いわゆる「古民家差し上げます」といった募集が日常的に見受けられます。しかし、契約書に判を捺す前に、譲渡に付随する「隠された条件」を詳細に確認しなければなりません。
一般的に、空き家バンクの無償譲渡や「家いちば」などの民間マッチングサービス、あるいは所有者直接の取引において提示される古民家無料譲渡の条件には、以下のような要件が課されるケースが多く見られます。
- 自治体が関与する場合の定住要件:「40歳以下の若年層・子育て世帯」「対象地域への住民票移転と最低5年〜10年間の定住」「消防団や集落の清掃活動など地域コミュニティへの積極的参加」。
- 所有権移転の留保条件:一定期間(10〜20年程度)賃貸として居住し、賃料を支払った(あるいは無償で住み続けた)後に所有権を無償移転する「譲渡型賃貸住宅」のスキーム。
- 現況有姿(現状引き渡し)と契約不適合責任の免責:雨漏り、シロアリ被害、構造耐力上主要な部分の腐食があっても、元所有者は一切の補修義務を負わず、クレームを受け付けないという特約。
- 残置物の全量引き継ぎ:先代が残した大量の家具、家電、農機具、衣類、仏壇などの処分を、取得者側の全額自己負担で行う条件。
こうした条件の厳しさや認識の齟齬から、空き家無償譲渡をめぐるトラブルとネットの反応を調査すると、SNSや知恵袋などには生々しい後悔の声が溢れています。
「タダでもらった古民家、家財道具の処分だけで専門業者に80万円請求された」「境界標がどこにもなく、隣地住民と越境樹木の伐採をめぐって訴訟寸前の泥沼関係になった」「屋根の葺き替えと下水接続だけで見積もりが800万円を超え、新築のローコスト住宅を建てたほうが安かった」といった体験談が散見されます。無償譲渡の契約書に署名した瞬間から、元所有者が抱えていた法的責任と金銭的リスクがすべて自分自身の肩に降りかかってくるのです。