受賞者たちの出身大学(学部・学士取得大学)をランキング化すると、日本の学術界を牽引してきた特定の傾向が鮮明に浮かび上がります。
第1位は京都大学と東京大学が各8名で並び立っています。しかし、両校の学術的アプローチには明確な違いが見られます。京都大学は湯川秀樹氏や朝永振一郎氏、福井謙一氏に代表されるように、「他人がやらない独創的な基礎研究に没頭する」という自由闊達な学風が強みです。これに対し東京大学は、小柴昌俊氏の巨大実験装置カミオカンデ計画や、真鍋淑郎氏の高度な数値気候モデル構築など、国家規模・世界規模のプロジェクトを牽引する総合力で実績を築いてきました。
続く第3位は名古屋大学の3名(小林誠氏、益川敏英氏、天野浩氏)です。名大は「坂田スクール」と呼ばれる独自の物理学研究の伝統を持ち、教員と学生が対等に議論を交わすカルチャーが結実しています。
注目すべきは、地方国立大学や私立大学、民間企業出身者の際立った躍進です。徳島大学出身の中村修二氏、長崎大学出身の下村脩氏、山梨大学出身の大村智氏、埼玉大学出身の梶田隆章氏、神戸大学出身の山中伸弥氏、東北大学出身で島津製作所のエンジニアとして受賞した田中耕一氏など、中央のエリート機関に限らず、地方の独自研究や民間企業の現場からノーベル賞級の成果が生まれている点は、日本の科学技術史における大きな誇りです。