秋冬野菜のポテンシャルを最大限に引き出すためには、トマトの茎葉を片付けた直後のリセット作業が明暗を分けます。単に耕して化成肥料を投入するだけの作業は、土壌バランスをさらに崩す原因になりかねません。科学的根拠に基づいたトマト撤去後の土作り手順を順序立てて実践することが求められます。
第1ステップは、地下部に残された細根の徹底回収です。トマトの根は木質化しやすく、土中に残ると分解に長時間を要します。この未分解の残渣(ざんさ)は、後作の根の伸長を物理的に妨げるだけでなく、病原菌の温床となります。スコップを入れて土を反転させ、網などで可能な限り残根を取り除きます。
第2ステップは、残存塩類と土壌酸度(pH)の把握です。トマト栽培では追肥を頻繁に行うため、特に雨よけシートを使用していた畝では過剰な肥料分が硝酸塩として残存しています。ここで無思慮に元肥を全量投入すると、後作の苗が「濃度障害」を起こして根焼けを起こします。土壌酸度計を用いてpHを測定し、アブラナ科ならpH6.0〜6.5、ホウレンソウならpH6.5〜7.0を目指して、必要最小限の苦土石灰や有機石灰(カキ殻粉末など)を施用します。緩効性の有機石灰は土壌を急激に硬化させず、微量要素の補給にも役立ちます。
第3ステップは、土壌生態系の多様化を図る有機物の補給です。完熟した牛ふん堆肥や腐葉土を1平方メートルあたり約1〜2kg混和し、有用微生物のエサを供給します。時間的猶予がある場合(タマネギ植え付けまでの4週間程度)は、透明ビニールマルチを張って晩夏の残暑を利用した「太陽熱養生処理」を行うのが、最も効果的なナス科連作障害の回避法となります。地温が50℃以上に達することで、病原菌やセンチュウ、雑草種子の大部分が不活性化し、土壌は劇的に蘇ります。