ファンの間で今も熱く語り継がれるのが、1987年の「オリジナル版」と1989年の「平成レコーディング版」における決定的なサウンドの違いです。単なる再発売ではなく、バンドの急速な成長が音そのものに刻み込まれています。
最も顕著な違いは、リズム隊のダイナミクスとテンポ感にあります。1987年版は当時の歌謡ポップスや80年代アイドルソングのニュアンスを残した軽快なアレンジでしたが、平成レコーディング版では富田京子のパワフルなドラミングと渡辺敦子の重厚なベースラインが前面に押し出され、完全に「本格派ロックバンドのグルーヴ」へと昇華されました。
また、ボーカルを務める岸谷香(当時は奥居香)の歌唱アプローチも大きく進化を遂げています。オリジナル版の初々しさを残したストレートな歌声に対し、平成レコーディング版ではライブハウスやホールツアーで鍛え上げられた圧倒的な声量、エッジの効いたハスキーなアタック感、そして感情の機微を表現する抑揚が際立っています。さらに、ブラスセクションとキーボードの煌びやかなリフレインが加わったことで、現代のリスナーが聴いても古さを感じさせない音圧と輝きを獲得しました。