ぬくもりの森を歩いて最初に驚かされるのは、建造物のどこを見渡しても「真っ直ぐな線」がほとんど存在しないことだ。波打つ瓦屋根、丸みを帯びた土壁、一本一本表情が異なる木製の扉。建築家・佐々木茂良(ささき しげよし)氏が手掛けたこの空間は、効率や合理性を最優先する近代建築へのアンチテーゼとも言える。
1983年に自身の建築事務所としてスタートしたこの地は、手作業による増改築を幾度も重ねることで、命を宿したかのような独特の造形へと成長を遂げた。異国から輸入されたアンティークの部材や廃材、歪みのある自然木が見事に調和し、どこを切り取っても絵画のような佇まいを見せる。2026年の今日においても、その手作りの温もりとクラフトマンシップは少しも色褪せることなく、訪れる者のインスピレーションを刺激して止まない。