日本のエンターテインメント史において、この怪物を国民的トラウマかつ熱狂的コンテンツへと押し上げた最大の功労者は、間違いなく『テラフォーマーズ』である。集英社が発行する「週刊ヤングジャンプ」で連載が始まった当時、原作の貴家悠と作画の橘賢一が提示した世界観は、既存の漫画ファンのみならず批評界にも凄まじい衝撃を与えた。
火星の地球化(テラフォーミング)を目的として放たれた苔とゴキブリが、約500年の歳月を経て独自の異常進化を遂げた姿――それこそが「テラフォーマー」だ。知能を獲得し、人間を明確な外敵として認識した彼らは、一切の対話を拒絶したまま、無慈悲な力で人類を屠っていく。貴家悠の描く冷徹なシナリオと、橘賢一による緻密で容赦のない描線が融合した本作は、SFホラーの金字塔として世界中にその名を轟かせた。