より複雑な社会的テーマに踏み込んだ『もののけ姫』では、「生きろ」という切迫したメッセージが物語全体を貫く。憎しみの連鎖に抗い、矛盾を抱えたまま共に生きる道を探る主人公の言葉は、混迷を極める現代社会を生きる私たちへの直接的な問いかけに他ならない。
また、世界的な評価を確立した『千と千尋の神隠し』において、名前を奪われるという設定は「自己の喪失」という現代的な病理を象徴している。恐ろしい世界の中で己の名前と思い出を必死に抱きしめるヒロインの姿は、他者に流されず自分自身の足で立つことの尊さを物語っている。