SNSや大手掲示板、Q&Aサイトを検証すると、台上前転に関する投稿には「小学生のときに首を痛めてトラウマになった」「跳び箱から横に落ちて腕を骨折し、体育が嫌いになった」という痛切な体験談が何年経っても数多く寄せられています。そこから見えてくるのは、根性論指導によって生じる深刻な心理的弊害です。
「勢いをつけて飛び込めば自然と回れる」という指導法は、運動センスの高い一部の児童には通用しても、恐怖心を抱えている児童に対しては逆効果でしかありません。速度を上げれば上げるほど衝突エネルギーは増大し、恐怖から身体が固まった際の大事故につながるためです。文部科学省の指導要領解説でも、無理な技の強制を戒め、段階的な場づくりによる不安の解消が強く求められています。
教育現場で成果を上げている実践例を見ると、まずは台の横や後方に補助マットを敷き詰め、「万が一バランスを崩しても痛くない環境」を視覚的に証明することが恐怖心解消の第一歩となっています。「絶対にケガをしない」という心理的平穏が確保されて初めて、子どもは前転に必要な前傾姿勢をとることができるのです。