「どんな曲にも合うダンス」というフォーマットは、近年のSNSで突然生まれたわけではありません。その系譜は2000年代後半の動画共有サイト黎明期まで遡ることができます。
元祖として名高いのが、カプコンの格闘ゲーム『ストリートファイターII』に端を発する「ガイルのテーマ(Guile's Theme Goes with Everything)」です。どんな映像に重ねても劇的な名シーンに見えてしまう現象として海外から大流行し、これが「BGM差し替え」によるミームの基礎を築きました。
日本国内におけるダンス動画の先駆例としては、ニコニコ動画のMAD文化で爆発的な人気を博したアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』のエンディングダンス「ハレ晴レユカイ」や、アニメ『かぐや様は告らせたい』の「チカっとチカ千花っ♡(チカダンス)」が挙げられます。卓越した作画枚数と絶妙なコマ打ちで描かれたアニメーションダンスは、後述するTikTok発の実写ダンス動画へと受け継がれていきました。
近年では、海外ダンサーのコミカルなステップ動画や、韓国アイドルのプラクティス動画、さらにはCGキャラクターのループモーションが「TikTok トレンド 音源」に合わせて次々と再編集され、新たな万能ダンスとして数億回再生を記録するサイクルが定着しています。