プロのスカウト陣が口を揃えて「花咲徳栄の出身者は入団後の伸びしろが大きい」と評する背景には、岩井隆監督が確立した独自の育成メソッドが存在します。同校の練習環境には、広大な野球部専用グラウンドに加え、雨天時でも実戦練習が可能な室内練習場、さらには最新鋭の機器を完備したトレーニングルームが整えられており、恵まれたハード面を最大限に生かした指導が行われています。
育成の最大の特徴は、選手の骨格や関節の可動域に合わせた「個別アプローチ」です。画一的なフォームを強制するのではなく、バイオメカニクス(生体力学)の観点から個々の出力が最大化する体の使い方を指導します。バッティングにおいてはインパクト時のヘッドスピードと骨盤の連動を意識させ、ピッチングでは肩肘への負担を抑えつつ回転数の高いボールを投げるためのフォーム設計をミリ単位で突き詰めます。
さらに見逃せないのが徹底した「食育と体重管理」です。高校入学時に細身だった選手でも、栄養管理された食事指導と計画的なウエイトトレーニングを並行することで、卒業時には見違えるようなプロ仕様の筋量を獲得します。しかし、単に体重を増やすだけでなく、走力や俊敏性を損なわない「動ける肉体」をつくる点に徳栄メソッドの真価があります。高校の3年間で終わる選手ではなく、「プロや大学のトップレベルで通用する選手を育てる」という長期視点のフィジカルビルドが、強固なチーム力の源泉です。