剛速球投手として鳴らした飛雄馬ですが、プロ入り後に最大の弱点に直面します。それは「球質が軽すぎる」という投手致命の資質でした。どんなに速い球を投げても、相手の芯に当たれば容易に長打にされてしまう――。この絶望的な身体的ハンディキャップを克服するために編み出されたのが、球史に燦然と輝く大リーグボールでした。
打者のバットを狙ってボールを当て、凡打に仕留める「大リーグボール1号」。ホームプレート手前で土埃を巻き上げて打者の視界から消える「大リーグボール2号(消える魔球)」。いずれもライバルである花形満や左門豊作らによって研究し尽くされ、次々と攻略されていきました。その極限の果てに生み出されたのが、飛雄馬の運命を決定づけた「大リーグボール3号」です。
この魔球は、打者が振るバットの風圧を利用してボール自身がバットを避けて通過する、常識外れの超スローボールでした。しかし、その投球フォームは左腕の関節、筋肉、そして靭帯に不自然かつ壊滅的な負荷を強いるものだったのです。
ファンが最も注目する左腕破壊の理由は、まさにこの3号の投球メカニズムにありました。父・星一徹が中日ドラゴンズのコーチに就任し、宿敵として飛雄馬の前に立ちふさがる中、中日に移籍した伴宙太が3号の秘密を暴こうとバットを構えます。1971年放送のアニメ最終回、飛雄馬は左腕がすでに悲鳴を上げ、内部で組織が崩壊していく激痛に耐えながら投球を継続。伴を打ち取り、完全試合を達成した瞬間、彼の左腕の腱と神経は完全に断裂し、二度と左腕でボールを投げられない身体となったのです。