Q1:『幸福論』は実話に基づいているのですか?元彼に向けた曲というのは本当ですか?
A1:実話に基づいている部分は極めて大きいです。椎名林檎本人がデビュー当時の取材で明かしている通り、高校時代に交際していた男性へ向けたストレートな感情がベースになっています。ただし、単なる私的な日記にとどまらず、誰もが自己を投影できる普遍的な文学作品として見事に昇華されています。
Q2:シングル通常版とアルバムの「悦楽編」はどちらから聴くべきですか?
A2:彼女の作家性のダイナミズムを味わうなら、時系列順に聴き比べるのが最もおすすめです。まずシングル版(またはマキシ再発盤)でポップスとしての骨格を味わい、その後に1stアルバム『無罪モラトリアム』に収録された「悦楽編」を聴くことで、彼女がどのようなロックサウンドを本来志向していたのか、その闘争の軌跡を鮮明に体感できます。
Q3:歌詞に「生きてゐる」など歴史的仮名遣いが使われている理由は?
A3:言葉に対する記号的な慣れを防ぎ、聴き手や読み手に強い印象を残すための芸術的表現です。近代文学への傾倒に加え、日本語の持つ独特の美しさや厳かさを楽曲に宿らせるための、計算されたブランディングと作家性の表れです。
Q4:名盤『無罪モラトリアム』にオリジナル版が収録されなかったのはなぜですか?
A4:アルバム全体の統一感と、椎名林檎自身が提示したかったオルタナティブ・ロックとしての意志を明確にするためです。デビューシングル制作時の妥協や制約をアルバムで乗り越え、アレンジャーの亀田誠治氏らと共に「これぞ自分の音である」と証明するために「悦楽編」へと全面改変して収録されました。