「話題のロメスコソースとは一体どんな味なのか」という疑問に対する端的な答えは、「ナッツの香ばしい濃厚なコクと、じっくり火を通した野菜の自然な甘酸っぱさが調和した、食べる感覚の万能ソース」です。見た目は辛そうに見える鮮やかなオレンジ色をしていますが、唐辛子の鋭い刺激は一切なく、子どもから年配者まで安心して楽しめるマイルドで奥深い旨味が凝縮されています。
ロメスコソースの味と特徴を形作っているのは、スペイン・カタルーニャ地方タラゴナ県の港町バイルス(Valls)周辺で培われた漁師たちの知恵です。海から戻った漁師たちが、獲れたての魚を美味しく食べるために、身近にあったナッツや野菜、古くなったパンをすり鉢(モルテロ)ですり潰して作ったのが発祥とされています。
味わいの構造を分解すると、まず舌に広がるのは香ばしくローストされたアーモンドやヘーゼルナッツの豊かな油分と粒子感です。そこにオーブンで真っ黒になるまで焼いて甘みを引き出した赤パプリカと完熟トマトの凝縮されたフルーティーな甘酸っぱさが重なり、ニンニクの力強いパンチが輪郭を引き締めます。最後に上質なシェリービネガー(またはワインビネガー)の穏快な酸味が全体を包み込むため、濃厚でありながら後味は驚くほど軽やかです。
マヨネーズのようにこってりしすぎず、一般的なトマトソースのような水っぽさもありません。細かく砕かれたナッツとオイルが乳化し、さらにパンのデンプン質が加わることで、食材にしっかりと絡みつく「トロリとした絶妙なテクスチャー」を生み出しています。