だが、物語はそこで終わりではない。デジタルストリーミング時代の本格化に伴い、SpotifyやApple Musicなどのプラットフォームでは、PESが手がけた過去のクラシックやソロワークスが新たな世代によって再発見されている。かつてのリスナーだけでなく、当時を知らないZ世代がそのハイセンスな音楽性に驚嘆しているのだ。
メジャーレーベルの巨大な枠組みを離れたPESは、よりパーソナルで、研ぎ澄まされた創作活動へと舵を切った。自身のレーベル運営や他アーティストへのプロデュース、アコースティックからエレクトロまで自在に行き来するサウンドメイク。そこには、メガヒットの重圧から解放された一人の音楽家の純粋な探求心が見て取れる。
他人に決められたレールではなく、自分の手で鳴らすべき音を鳴らす。その潔いスタンスが、インディペンデントなリスナー層からの熱烈なリスペクトを集めている。